こんにちは!けみかです!
前回に引き続き複利の計算にまつわる数学のお話です。
前回の記事では、「最初に一度預けた資産のみを定率の利回りで運用する」というパターンを紹介しました。
そして、今回は積立を行う場合の計算方法を記載します。ちょっと複雑で難しく感じるところもあるかもしれませんが、なるべく分かりやすくお伝えできるようがんばります(><)
毎年定額の積立を行う場合
まずは、一定額を年に一度積み立てる場合を想定してみます。1月1日に積み立てて、翌年の1月1日に利息が発生する感じのイメージですね。(実際には金融機関はお休みだと思いますが目を瞑ってくださいw)
というわけで、年に一度60万円ずつ積み立て、年利5%(複利)で運用する場合を考えましょう。また、前回同様、以下の説明で用いている「〇年目」は、「運用を始めたその日から〇年目」を定義とします。
つまり、
- 1年目は運用を始めた直後なのでまだ利息はつかない
- 2年目に初めて利息がつく
- 30年間の間に利息がつく回数は29回
となります。
この場合、例えば開始から2年目の資産総額は、【1年目の積立60万円とその利息3万円】と【2年目の積立60万円】の合計123万円となります。
n年目の資産総額をxnと表すこととして、より詳しく見ていきましょう。
1年目:x1 = 600,000円
2年目:x2 = 600,000×1.05+600,000 = 1,230,000円
3年目:x3 = 1,230,000×1.05+600,000 = (600,000×1.05+600,000)×1.05+600,000 = 600,000×1.052+600,000×1.05+600,000 = 600,000×(1.052+1.05+1) = 1,891,500円
4年目:x3 = 1,891,500×1.05+600,000 = (600,000×(1.052+1.05+1))+600,000)×1.05 = 600,000×1.053+600,000×1.052+600,000×1.05+600,000 = 600,000×(1.053+1.052+1.05+1) = 1,986,075円
どうでしょう。だんだん形が見えてきましたね。この流れに沿うと、30年目の資産総額は次のようになります。
30年目:x30 = 600,000×(1.0529+1.0528+…+1.05+1)
さてさて、この括弧の中身はどうやって計算しましょう。高校時代に「等比数列の和」を習った覚えのある方はピンとくるかもしれません。まず、30年目の資産総額に1.05を掛けた値を計算すると次のようになります。
1.05x30 = 600,000×(1.030+1.0529+…+1.052+1.05)
ここで、x30と1.05x30を比較してみると、
①1.05, 1.052,…, 1.0529の各項はx30と1.05x30のどちらにも現れる。
②1はx30にのみ現れる。
③1.0530は1.05x30にのみ現れる。
ということがわかります。
そこで、1.05x30からx30を差し引くとどうなるでしょう?
……そうです!1.05, 1.052,…, 1.0529の各項は全て消えてしまいます(゜∀゜)
というわけで計算してみると、
1.05x30 – x30 = 600,000×(1.0530-1)
となります。
ここで、左辺の引き算は0.05x30となるので、今知りたいx30は、x30 = 600,000×(1.0530-1)÷0.05 = 39,863,308円と求まりました。
利息がつかない場合、毎月5万円を30年間貯めると1800万円となるので、利益は39,863,308-18,000,000 = 21,863,308円となります。
【毎年定額積立の場合の一般式】
先の例から予想できるように、「毎年a円を積み立てて、年利p%で運用したときのn年目の資産総額xn」は、xn = a((1+0.01p)n-1+(1+0.01p)n-2+…(1+0.01p)1+1) = a((1+0.01p)n-1)÷0.01pとなります。
では、次に毎月積立を行う場合を考えてみましょう。
毎月定額の積立を行う場合
ではいよいよ本題の、「毎月5万円を年利5%で運用した場合の30年目の資産総額」を求めましょう。
毎月積立の場合でも、考え方は毎年積立の場合と同様です。上記の一般式を使いますが、以下のことに注意します。
①年数ではなく月数を使用する。→30年なら360ヶ月として計算
②年利を12で割って月利として考える。
これらを念頭に置き、一般式中でn = 360(ヶ月)、p = 5/12として計算すると、
360ヶ月目:x360 = 50,000×((1+0.01×5/12)360-1)÷(0.01×5/12) = 41,612,932円
となります。計算には関数電卓かExcelを使いましょう。
こうしてようやくロボアドの記事内で書いた、金融庁のホームページに掲載されたシミュレーターで計算した結果である「4161万円」と一致しました。
めでたしめでたし。
おわりに
前回と今回の2回に分けて、積立で資産運用する場合の計算方法を説明してきました。実際には、金融庁のホームページなどに掲載されている資産運用のシミュレーターを利用すれば、こんな計算方法を知らなくても簡単に試算することができます。
とはいえ、自分のお金に関する大事なシミュレーションなので、やっぱり少しはその原理を理解していた方が安心するなぁというのが個人的な感想です。
以上、拙い説明ではありましたが、数学の苦手な方の一助となれば幸いです。
ではでは。
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