【便利だけど除きにくい】DMSOやDMFの除き方

フラスコが並んでいる様子 化学

どうも。けみかです。

今回は、DMSOやDMFなどの高沸点極性(親水性)有機溶媒についてのお話です。

DMSOやDMFを使うのはどんなとき?

例えば、SN2反応DMSODMFなどの非プロトン性溶媒中で速やかに進むことが知られています。これは、求核剤がほとんど溶媒和されずにフリーの状態で漂うことが出来るからですね。

とはいえ、私自身もそうですが、SN2反応の溶媒としてファーストチョイスでDMSOやDMFを使うことはあまり無いかと思います。例えば同じく非プロトン性溶媒であるTHFを用いて反応が問題なく進めば、これらはエバポレーターで簡単に留去出来ますしね。

ところが、基質や試薬がTHFに溶けにくいまたは全く溶けない場合もよくあります。こんなときは、色々なものを溶かしやすいDMSOやDMFを使うことで概ね問題を解消出来ます。

他にも、例えば私が1H NMRを測定するときは、通常は重クロロホルムを使っていますが、化合物の溶解性が悪い時は重DMSOに替えて測定することもよくあります。

しかし、これら高沸点極性溶媒を用いると、その除去が問題になりがちです。もちろん浴温を上げて減圧蒸留で除くのも不可能ではないですが、DMFは高温で一部分解することや、また化合物の安定性を考慮すると難しいことの方が多いのではないでしょうか。

以下では、そんな便利だけども厄介な高沸点極性溶媒の除き方を紹介します。

分液による除去

化合物が有機層に抽出できる場合は、DMSOまたはDMF溶液に水とヘキサン/酢酸エチル(4 : 1)を加えて分液をしましょう。

この操作を2,3回くらい行うことで、高極性溶媒を水層側に除くことができます。とはいえGCで非検出となるレベルまで持っていくのは難しいです。あくまで粗精製であることに注意しましょう。

逆に、もしも目的物が水溶性化合物の場合は、水とクロロホルムを加えて分液することで、目的物を水層側に移行させつつDMSOやDMFをクロロホルム層側に留まらせることが可能です。

また、同じく高極性高沸点の溶媒であるピリジンを除きたい場合は、希塩酸を加えて塩酸塩にして分液することで容易に水層に除くことが可能です。目的物が酸に弱い場合には、硫酸銅水溶液を加えて銅錯体を形成させてやる方法でも水層に除けます。

凍結乾燥による除去

NMR用に使ったDMSOなど、量が少ない時には水を加えて凍結乾燥することで簡単に除くことが出来ます。この方法では化合物の分解の心配も少ないですが、あまりに量が多いとしんどいです。

共沸による除去

DMFに関しては、ヘプタンと共沸組成を形成することが知られているので、ヘプタンを加えることで留去しやすくなります。

共沸時の組成や温度は本来大気圧下の値として与えられますが、エバポレーターを使って留去してもある程度の効果はあるようです(経験談)。

ピリジンを留去する場合はトルエンと共沸させるのが有名ですかね。蛇足ですが、ピリジンをエバポレーターにかけて飛ばす際は必ずドラフト内でやりましょうね。

一方、DMSOと共沸する溶媒は無いのでこの方法は使えないですね…。もしかしたら私が知らないだけかもしれませんが。。

シリカゲルカラムによる除去

DMFやDMSOは、(もちろん展開溶媒にもよりますが)通常はTLCで原点付近に留まります。従って、ショートカラムで除くことが出来なくもないです。

経験のある方も多いでしょうが、DMFやDMSO中の化合物をTLCで打つと、化合物がこれら溶媒に”引っ張られてRf値が本来の値とずれることがよくあります。そのため、カラム時にはDMFと化合物が一緒に出てきてしまう可能性も十分にあります。

なので、この方法が使えるのは「予め分液や共沸によってある程度は除いており」、且つ「化合物を多少ロスしても構わない」という時です。

私自身、「親水性化合物の反応をDMF中で行ったあと、共沸である程度DMFを留去してからカラム精製する」という工程を経験したことがあります。カラム後は確かにDMFは抜けていましたが、同時に目的物も10~20%程度ロスしてしまっていた記憶があります。

さきほど「出来る」ではなく「出来なくもない」と書いたのはこのためです。どうしようもなくなったとき、試してみる価値はあります。

コンビニエバポの利用

株式会社バイオクロマトより、コンビニエバポというものが販売されています。

コンビニエバポ
© BioChromato, Inc.

これを使うことで、DMF 5 mLの濃縮を43分/40 ℃または24分/70 ℃DMSO 5 mLの濃縮を195分/40 ℃または69分/70 ℃で可能になるとのこと。濃縮を容易にする原理は下図の通り。

コンビニエバポの原理
© BioChromato, Inc.

装置自体は素晴らしいのですが、飛ばせる量が少ないのが難点です。メーカーのHPによれば、使える容器の最大サイズは口内径32 mm、高さ120 mmなので、およそ96 mLということになります。実際に溶媒を入れるのは、実例を参考にすると容器の4分の1くらいまでで、多くて25 mL弱といったところですね。

小スケールの合成では出番もあるかもしれませんが、そのためにわざわざこの機器を導入するかと聞かれるとちょっと考えてしまいますね。

一方、微量試料の濃縮という観点では優れていると思います。NMR後の溶媒濃縮なんかには打ってつけではないでしょうか。

まぁ私はこの装置を使ったことがあるわけではないのですが(すみません)、名前はよく聞きますね。

おわりに

以上、今回は高沸点の極性溶媒をどうやって除くか?という点について紹介しました。

まとめると、

①分液

②凍結乾燥

③共沸

④シリカゲルカラム

⑤コンビニエバポ

といったところです。専ら使われるのは①分液③共沸ですかね。

まぁなんにせよDMFやDMSOを使わないような反応系を構築できるのが一番なんですが、どうしても使わなければいけないときもあります。

そんなとき、この記事を思い出して頂ければ幸いです。

ではではこの辺で!

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